模擬試験・模擬テスト返却の考え方〜入り口・中間学年(小4・5、中1・2)の潜在力の伸びに注目して〜

                                              青夢舎

 

以下は、非受験学年で模擬試験返却時にいつも心がけている、手島なりのアドバイス・プランです。基本的なスタンスは、自己評価の低い子どもたちの自己評価を、いかに高め、そしてやる気を引き出させるかという点です。

 箇条書きになっているため、読みづらい部分はあるかと思いますが、ご家庭でも参考にしていただければ幸いです。

 

1.返却にあたっての事前準備

 

<大前提>

入試本番で勝てばよい。そのためにはどうすればよいか

 @どんな結果だろうと、ライバルたちより1点多く取れればよい

 Aどれだけライバルたちが手強くても、満点の答案にはかなわない

 

<小前提>

 B弱点を探し出すための模擬試験である。できない部分を素直に受け止めさせること。

 C自信を持たせる

 D気持ちを引き締めさせる

 

 @、Aの前提とB〜Dを状況に応じて組み合わせて使い分けるが、基本はポジティブに。

 

<返却時のチェックポイント>

・失点箇所のチェック

・平均点の確認と標準偏差の目安をつける(偏差値1ポイントあたりの得点幅)

・それまでの成績状況の推移

・お子様の性格分析(自信がつくと勉学に励むタイプか、天狗になり何もしないタイプか)

 

 

2.アドバイスポイント

 

基本的スタンス:実勢力と潜在力双方の伸び、課題を把握しアドバイスしていくこと。「成果なき答案」はない

(※セリフは対生徒向けです)

 

A 教科別評価へのコメント

 

・ケアレスミス(漢字、計算ミス、スペルミス、写し間違いなど)の有無の確認

⇒これらのミスを防止できたら、最高何点取れたのか(潜在的能力の評価)

 →ほめる or 気持ちを引き締める → 次回へ向けた学習計画の立案

(※ケアレスミス防止の基本的な考え方は、「4.ミスを減らすために・・」を参照してください)

 

B 総合評価へのコメント

 

・今までの成績状況と比較したうえで、各教科、今までの自己ベストを更新しているかどうか。

→@総合成績で自己ベストであれば、大いにほめる

    そして仮に全教科で自己ベストであった場合の到達可能偏差値を示し

    「潜在的な力はもっと高まってきているよ」とほめる

 

   A一教科でも自己ベストを更新した教科があればほめる

    その後@の場合と同様に、仮に他教科が自己ベストであった場合の到達可能偏差値を示し

    「潜在的な力も高まってきているね」とほめる

 

   B自己ベストの更新もなく低調である場合

    それまでの学習過程に障害はなかったかヒアリングを行い検証。→ 次回へ向けた学習計画立案

    「時間の使い方とか、もう一度いっしょに見直してみようね」

 

C 今後に向けて〜いかに学習を継続させるか〜

 

 ここでは、子どもたちの持っている能力・調子に応じた対応策をまとめてあります。お子様の状況に応じて、参考にしていただければと思います。

 

・好調な上位生

  →<大前提>Aの話を伝え、自分の実力をさらに高められるような具体的な教材名・学習方法を約束させる。

 

・不調な上位生

  →中間学年は試行錯誤の許される学年であることを伝え、安心させたうえで、ミスをへらすための具体的な方法を相談、約束させる

 

・好調な中下位生

  →潜在的な可能性の伸びをほめたうえで、具体的な目標偏差値・目標点を決めさせる。そしてその目標をクリアできるような具体的な学習方法(演習分野、学習スタイル)を相談、約束させる。

 

・低調な中下位生

  →中間学年は試行錯誤の許される学年であることを伝えたうえで、生活リズム・学習方法などを相談する。一週間の学習スケジュールと、その実施状況をチェックする「細かい部分まで見る」

 

 

3.留意点

 

成績向上への過度の「入れ込み」を和らげることと同時に、日々の子どもたちの学習状況のチェックを怠らないようにしましょう。

 

好調な生徒には欲を持たせる。不調な生徒には自信を持たせる。好調なときほど、気持ちを引き締めさせ、不調なときほど前向きに話をしてあげること。ポジティブ一色もよくないし、ネガティブ一色もよくない。

 

成績に上下動はつきもの。成績が下降したときこそ、潜在的可能性を考慮し前向きな励ましを。逆に、成績が右上がりで上昇中の生徒には、予め逃げ場を用意しておきましょう。

「今度のテストは難しいからね・・」。

 

・特に上位生で、自分の弱点には目を背け続けた結果、ぽっきり折れるケースもあります。ケアレスミスなのか、そもそも基礎の考えから分かっていないのか、しっかり見極めてコツコツと努力を積み重ねられるようアドバイスをしてあげましょう。

    「誰でも一度は壁にぶつかる。それが入試直前でなくてよかったね。必ず乗り越えられるから、一つひとつ何がわからないのかを分析してみようね。」

 

4.ミスを減らすために・・

 

・日頃の演習、宿題について全問正解を目指す。「稽古場で弱くても本場所に強い関取」はいても、「稽古場で弱くて本場所に強い受験生」は稀である。

 

 <大前提>解いたその場ですぐに丸付けをすること。出来ない箇所を探し、復習することが宿題の目的である。

 

 第一段階:解きなおしは必ず行われているか。

     (前提として、解答・解説の内容を、感覚的ではなく論理的に理解できているか。解答の根拠は?)

 

 第二段階:「解き直しすればいいや」から「解き直しをしないですむように」への移行

     (日頃の練習段階からミスをゼロにして、全問正解しようと思えるかどうか)

 

 第三段階:日々の演習、宿題についてすべて解答の根拠を自分で説明できる段階=ミスのない段階

 

・漢字、スペリング、知識事項の覚え方→自分で小テストをつくる。同じ問題を繰り返しとく。1〜2日おいての反復学習こそ効果的。朝・晩の10〜15分を有効活用!