(以下は、中学受験学年の過ごし方としての、1つのケース・スタディとお考え下さい。)

 

 合格を誓う!強い受験生を目指して〜目指せ究極の自己ベスト〜

 

 いよいよ小学6年生、受験学年へと入ってまいりました。ある関西の大手塾では「受験生は、合格を神様にお願いするのではない。受験生は合格を神様に誓わなければいけない」という、力強い宣言をキャッチフレーズを掲げています。私たちも、今年は中学受験の指導方針を「目指せ自己ベスト」として進めていこうと考えております。その狙いは、第一志望校合格という究極の自己ベストを達成するための学力(自己分析力、計画性、精神力)を子どもたちに身につけてもらいたいという点にあります。ただ漠とした目標を立てるのではなく、必ず達成するべき課題として目標を立て、それに向けた計画を立てて実行していく。その過程の繰り返しが、究極の自己ベスト達成につながるからです。

 

具体的には、自己ベストの作成と模擬試験の振り返り、この2つの方法を通じて、目標達成への取り組み方を学んでいただきたいと考えています。

 

1.目指すは自己ベスト

 

 小学6年生には、1学期中に2回、自己ベストの目標を2つずつ立ててもらう予定です。1回目は2月から4月末まで、2回目は5月から7月までの自己ベストです。では具体的にどのような目標が望ましいのでしょうか。

 

 @自己ベスト目標の立て方

 

自己ベストの目標として望ましいのは、具体的な目標、つまり達成できたかどうかが判断しやすい目標です。学習リズムがつかみきれない場合は、家庭学習に関する目標を立てることが多くなりますが、ゆくゆくは数値目標(点数目標偏差値目標)へと変えていきたいところです。どちらの数値目標がより望ましいかは、後でお話いたします。

(自己ベストの変化例)

「宿題を毎日行う」、「漢字・計算練習を毎日行う」

「算数の小テスト80点以上3回とる」、「模擬試験偏差値60以上」

 

 A担当からのフィードバック

 

 4月末までの自己ベストを達成するため、3月には、子どもたちが「自己ベスト途中経過振り返りシート」を記入し、自己ベスト達成に向けた今後の対策を考え、担当からのアドバイスをフィードバックするという形式で進めました。この1回目の自己ベストを振り返りますと、目標の立て方が曖昧(漠然としている、現状に対して背伸びしすぎる)であったり、具体的な対策行動が取れていなかったりということが見られました。

 

今後も、夏期講習前までに生徒集会や個人面談、模擬試験振り返りなどを通じて、各担当から子どもたちに自己ベストの達成に向けてアドバイスを行い、自己ベストの計画〜実行〜振り返り〜修正〜実行〜振り返り〜のリズムをしっかりと身につけさせてあげたいと考えています。

 

2.模擬試験への取り組み

 

 模擬試験の受験後のフォロー・アップとしてテストの振り返りシートの記入を子どもたちにしてもらっています回収したシートには、各担当からのアドバイスを載せて、子どもたちに返却をして以後の復習に役立ててもらう狙いです。振り返りシートを記入するときに気をつけて欲しいポイントは2箇所あります。

 

 @できなかった問題の単元の確認

 

子どもたちには、振り返りを行うときにより具体的な単元名を挙げて、自分の復習に役立てるようなコメントを書くように伝えています。彼らにとって、苦手意識のある教科ほど教科内の各単元の区別や境界が曖昧になりがちです。得点し切れなかった単元をしっかりと意識することで、より具体的に克服するべき課題が明確になりますし、過去問演習の際にも復習計画を立てやすくなります。

 

A配点のポイントの確認

 

テスト振り返りでは、必ず次回の目標点を立ててもらっています。そのとき、各教科の配点のポイントをつかんだうえで、次回の目標点を立てることを心がけてもらいたいと思います。現時点では、かなり背伸びをした目標点を立てることが多くなってしまっていますが、具体的に対策の立てやすい課題を一つひとつ必ずクリアしていくことで、結果として自分の力が高まっていく。そんな目標の立て方を行うきっかけとして、テストの振り返りシートを利用していって下さい。

 

(例) 振り返り 「国語の漢字・知識問題で10点ミス、自己採点は60点だった」

                        ↓

次回目標 「70点。対策として漢字練習を毎日行い、漢字知識のミスをゼロにする」

 

また、このような目標の立て方を行うことで、過去問演習を行う際の振り返りも、「合格最低点に対してあと何問正解にしてする」といった形で目標を立てるときの練習にもなります。

 

B算数の計算問題の正答率

 

本題からは少し離れますが、算数について注意して欲しい点が一つあります。それは実際の答案の得点率は、計算問題の正答率よりも低くなるという点です。これは算数の失点の原因に計算ミスと思考過程そのものの誤りという2つの理由が挙げられることを考えれば、ごく自然な現象です。

 

(例) 模擬試験の計算問題(全6問)で1問ミス

                       ↓

試験全体の点数は最善で8割、通常は6〜7割前後が目安

 

ですから、合格最低点の突破(得点率6〜7割)という入試に直結する課題のことを考えるなら、普段の家庭学習ときから計算問題の正答率にはこだわって欲しいと思います。

 

3.究極の自己ベストへ〜第一志望合格を誓って〜

 

 @望ましいのは点数目標

 

個人的な意見になりますが、点数目標と偏差値目標のどちらがより望ましいかというと、それは点数目標にあるのではないでしょうか。なぜなら入学試験は偏差値で競うものではないからです。実際、子どもたちが過去問演習を行う際にも、目安とするのは合格最低点です。このような意味でいうなら、自己ベストについても、ゆくゆくは点数目標を掲げていく方がより本番を意識した取り組みになるのではないかと思います。

 

 A究極の自己ベストのための点数目標

 

 では、究極の自己ベスト、つまり第一志望合格を果たすために目標とするべき点数はどこに設定すればよいのでしょうか。それには究極の点数目標があります。すなわち満点を目指すことです。中学入試では

 

「合格した受験生が翌日に再度同じ試験を受けたとしても、8割は不合格になる」

 

とよく言われます。これは、中学入試のボーダーラインの戦いの厳しさ、そして子どもたちの精神的・肉体的な調子のピークを第一志望校当日に合わせていくことの難しさを語るときに、よく用いられる言葉です。

 

しかし、仮に本調子ではなくても合格できるだけの力を持った受験生であればどうでしょうか。実力の7〜8割程度の調子であっても第一志望の合格をつかみとっていく力を身につけることで、より第一志望校合格へと近づけるのではないでしょうか(第一志望校よりもハードルの高いチャレンジ校を組み入れるという併願パターンの組み方も、この考え方を下地にしています)。

 

もちろん、本番で満点をとるというのは極端な話ではあります。しかし、過去問演習を行う際には、最終的には満点に達するためにどの単元を復習しなければいけないのか、という観点から振り返りを進められると、子どもたちの力もより一段と伸びていくと思います。

 

第一志望校合格を神様にお願いするのではなく、神様の前で誓える、強い受験生に子どもたちを鍛え上げられるよう、担当一同、残り9ヶ月間全力で指導してまいります。よろしくお願いいたします。