2009年4月29日 女子校アンサンブル説明会報告
学習院女子大学で開催された、私立中学による女子校アンサンブルは今年で7回目になります。昨年まで会場となっていた学習院大学に比べ、若干会場が狭くなってしまったような感じがあったのですが、それ以上に朝早くから多くの方が参加なさっていて、会場は大変なにぎわいでした。参加校は五十音順に、跡見学園、学習院女子、恵泉女学園、香蘭女学校、実践女子学園、東京女学館、東洋英和女学院、三輪田学園、山脇学園の各校です。
プログラム内容は、各校のミニ説明会(各15分×計3回)。それと同時並行で、個別相談会および学習相談会が開かれていました。この報告では、各校のミニ説明会の中から、特に目についた内容についてご紹介いたします。
(※ なお、各校の末尾にある斜体部分は報告者の主観的なコメント・補足です。)
1.東京女学館
本校の建学の理念は、「国際性」、「知性」、「気」品の3つを兼ね備えた女性を育てることにあります。この3点を身につけた、社会に出てから対等な交渉を行える女性というのが本校の目標とする女性像でしたが、21世紀に入ってからその女性像をより具体化できるよう努め、「高い品性をそなえ人と社会のために尽くす女性」というフレーズを掲げることになりました。
女性としての人となりを活かし、周りの人とのつながりをより豊かにしていけること、このことが本校の考えるリーダーシップのあり方です。人々の考え方も暮らし方も多様化している今世紀において重要なのは、一人一人が状況を判断して、情報発信を行っていける編集力です。情報を発信するというのはただ伝えるというだけではない、伝えたい情報を受け入れてもらえる力も必要です。そのような力を身につけることで、一人一人の判断が周囲を支えていくという状況をうみだすことができる。そのようにして人間関係を豊かにしていけることが、今の時代には求められていると思います。
そのために、子どもたちには中学高校の6年間で、自分で考え、物事に取り組みあきらめない力を身につけて欲しいと思います。これは試行錯誤の許される6年間だからこそ可能なことで、社会に入ってからは試行錯誤している余裕はありません。この6年間は自我に目覚め、それぞれの個性を確立していく時期だとよく言われますが、その個性というものも、自分で発見するのではなく、周囲の人々によって発見され、認められていくものなのではないでしょうか。そのようなところに、共同学習ということの必要性があるのだと私たちは考えます。
子どもたちには、集団で過ごすことで他者を思いやる心を身につけて欲しいですし、思ったこと、感じたことを的確に表現する力もつけてもらいたい。このためには、学力という基礎の部分がしっかりとしていなければ、的確な状況把握も情報伝達も行えません。そして自ら問題を発見して取り組む力を身につけることです。
お父様、お母様方にはお子様の学校選びを行ううえで、お子様が30代、40代のときにどのような「生き方」をしているだろうか、という視点で学校を選んでいただければと思います。大人とは「生き方」が問われる存在なのではないでしょうか。感受性の豊かな中高6年間でお子様にどのような生き方を身につけてもらいたいか、を一つの基準としていただけたらと思います。本校が国際学級をスタートさせた理由も、子どもたちに多様な文化に触れ合う場所を提供したいという思いからでした。
本校を訪れる卒業生たちの言葉でもありますが、中高一貫私立の6年間というのは、本当に「守られた空間」であります。この守られた空間でのきめ細かな指導と、この場所で得られた「一生の友人」こそが、卒業生たちの進路を支えているといえるのではないかと思います。
東京女学館創設の経緯にはあまり触れることなく、建学の理念から教育内容にいたるまでの展開が非常にスムーズな15分間でした。「社会に入ってからは試行錯誤などしていられない」という言葉が強く印象に残っています。「守られた空間」、「一生モノの友達」といった卒業生の言葉は、他の学校の説明会などでも毎年のように聞かれる言葉ですね。大学進学以後、各所に散らばっていく友人たちがあちこちで活躍しているさまなどを見聞きするにつれ、彼らに深い敬意を覚えずにはいられないのは、同じ私学出身者として同意するところです。
2.東洋英和女学院
本校は教会の指導下にあるいわゆる「ミッション・スクール」ではありません。教会からは独立した「クリスチャン・スクール」として運営されてきました。しかし、お預かりしたお子さんたち一人一人が、自分に課せられた特別な使命を見つけられるように指導していくという意味では「ミッション・スクール」だといえるのだと思います。
本校で最も大切にしているものの一つに、朝の礼拝の時間があります。この時間を使って、「私はとはいったい何者で、どのような存在なのか。私の生きる意味と目的とは何か」といったことを聖書を通じて考えていって欲しいと思います。そうすることで、自分の生命とは、自分を超えた偉大な存在としての神様から与えられたものであること、自分の所有物ではない生命だからこそ、自分の生命には目的があって、自分の生命に対して誇りを持ってよいということ。そして、同じように神様から与えられた生命を持つ他の人々も大切な存在であることに気づいていって欲しいと思います
本校の教育理念は、神を敬い、他者を大切に認め奉仕していく心を育てることにあります。物事の善悪を判断し、善を行える。そのような普遍的な倫理観を聖書を通じて教えることが本校の教育目標です。
勉強とは何のために行うのでしょうか。社会的な地位や財産のためでしょうか。そうではなく、人のため、人の役に立つために勉強をするのではないでしょうか。そのような意欲、使命感こそが勉強をする大きなモチベーションになるのだと生徒たちを見て思います。
本校の創立者は、明治維新から間もない当時の日本に女子教育の灯をともしたい、という強い使命感に駆り立てられて本校の設立に尽力しました。そのような女性を育てることが本校の目標であります。
今年はキリスト教の理念に基づく教育について、例年以上に多くの時間を割いた学校説明となりました。「本校は進学を目的とした学校ではありません」と明言された先生の言葉が印象的でしたが、裏を返せばそれだけ、卒業生たちの活躍には誇りを持っているということかもしれません。具体的な教育内容や特色については2006年度、2007年度の女子校アンサンブル報告も併せて参照いただけるとよいかと思います。
3.三輪田学園
思春期の女の子のグループの特色とそれを踏まえた生徒指導についてお話したいと思います。とかく、女の子はグループ化しやすいと言われますが、その実態は非常に多様なものがあります。中学に入学した当初は、教室の席が近いだとか、帰る経路が一緒だとかというったことを軸にしたグループが形成され、それが部活の開始とともに新しい別のグループが生まれ、またオリエンテーションキャンプや夏の合宿などを通じてさらに別のグループもつくられていきます。しかし、これらのグループはよく想像されるような閉鎖的なものではなく、幾重にもなったとても可変的なグループになっています。
入学から1年が経ち、中2くらいになると、今度は気の合う仲間、趣味の合う仲間といったグループがつくられてきます。これも今までと同じように非常に可変的なグループです。さらに学年が進んで中3くらいになりますと、今までにないタイプのお友達と付き合い始めだしたりします。これは自我が深まってくるにつれ、内面の世界が広まったり、新しい自分を見つけてみたいといった思いが表れてくるためと考えられます。
本校では、以上のような人間関係の発達段階を踏まえて、子どもたちへの働きかけ方を様々に工夫しています。例えば、入学したての班行動などは、非常に機械的にグループを割り振って様々なタイプのお友達と関係が築けるように。学年があがって、子どもたち自身の人間関係を作り上げるスキルが上がってくると、自由にグループを組ませてみたりといった具合です。こうした取り組みを通じて、高校生くらいになると「同志」と呼んでも差し支えのないような「一生モノ」の友達ができてくるようになるのです。また、そのためにも、お子さんたちが好ましい人間関係を築けるようになれるよう、彼女らの共感能力を育てていけるような指導をしていきたいと思います。またご家庭でも、お子さんの様々な試行錯誤を見守っていただければと思います。本校でも各学期ごとに面接週間をもうけておりますが、とにかく子どもたちからの話を「聞く」ことに徹して、大切に見守っていきたいと考えております。
中学入学後、もしもいじめにでもあったら、、と心配なさっているご家庭も数多くあるのではないでしょうか。今年の説明会で人間関係に焦点をあてたお話に多くの時間が割かれたのは、そうしたご家庭の懸念に対して、三輪田学園なりの対処法を説明したいという考えがあったのかもしれません。説明会の後半部分では学習面についてのお話がありましたが、その内容については今回は割愛させていただきます。詳しくは2005年度の学校説明会報告書、2007年度の女子校アンサンブル報告書などを参照していただければと思います。
4.山脇学園
本校に通う子どもたちに身につけてもらいたいと考える人間の基礎力は3つあります。学力、社会力そして自律力です。
特に中学の間では学力を伸ばしてもらいたいと思います。学力とは、考える力、創造する(想像する?)力、論理性の3つの要素から成り立っています。これらを伸ばすために、教科教育以外でも様々な工夫を行っています。例えば、中1では「私コンテスト」ということをやっていて、これは自分の好きなことをとことん調べて発表するものです。同じような趣旨で新聞作りなども行っていますが、これが中2になると様々な業界についての調査を行って発表する。中3では一つの小論文として発表する、、と言った形で、いわゆるキャリア教育を並行させております。このようにすることで「私は○○がしたいから勉強したい!」という風に、子どもたちの学習意欲が向上していることが実感できています。
通学に関しては、「教科5日、学校6日制」という形式で、教科学習は平日に、週末の土曜日を学校行事や補習、特別講座に充てるスタイルをとっております。このようにすることで、教科学習だけでなく学校行事もけずることなく大切にすることが可能となりました。
現在、「山脇ルネサンス」といたしまして、学校行事やカリキュラムについて見直し作業を行っているところです。併設していた山脇短大を閉鎖して中学・高校に特化することになりましたので、今後は今まで以上により良い教育を行っていけるものと考えております。
礼法やお琴など、例年の山脇学園が特色としている内容についてももちろん触れられていましたが、「山脇ルネサンス」の真っ最中ということで、カリキュラムや学校行事などの詳細は秋口以降の学校説明会でお伺いできるそうです。併設短大の閉鎖はマンパワー、経営資源の選択と集中といったところでしょうか。いい意味で、子どもたちの進路がますます広がりやすい方向へと変わっていくのではないか、そんな予感を抱かせてくれるお話でした。
5.跡見学園
本校は今後の学校の教育方針を「進学」に向けたものとして明確化していきます。各地で公立の中高一貫校が続々と誕生しているなかで、私学は一体どのように公立校との違いを打ち出していけばよいのか。それはひとえに「面倒見のよさ」なのではないかと思います。
よく、いい学校ほど「大切なのは偏差値ではない。人間教育こそが大事です」などと話されていますが、それは結局のところ建前にすぎません。なぜかというと、人間教育というのはどこの学校でもみなさん「当たり前のこと」としてやられているからです。そこのところでは学校間に差はつきません。文部科学省が「生きる力」の育成などということを言っておりますが、あれも結局のところは建前でしかなくて、本当は「生き抜く」力を身につけさせることこそが大切なのだと思います。学校全体としてすぐにはなかなか変わっていけませんが、必ず変わっていこうと考えています。
本校には科学的、知的好奇心のあるお子さんに是非来ていただきたい。例えば、ラジオ番組の子ども電話相談室(TBSだったかと思いますが)で「とうもろこしの粒はいったいいくつあるの?」と尋ねてきた子がいました。そんな質問が事前の準備もなく突然ぶつけられるものだから、答える側も即興でうまく返事しなければなりませんが、この時の先生の回答がまたうまかった。「では、あのとうもろこしの先についているひげの本数は何本だと思いますか?」って、こういうやり取りを面白いと思えるようなお子さんに来てもらえたらなと思います。他には、「なぜ四国地方はうどん文化が発達したのだろう」とか。こういった疑問を持てるお子さんですね。そして、子どもたちには「何のために勉強するのか?」、「何のために学校に行くのか?」を考えて欲しいです。本校の説明会に来ていただけたら、答えはあげませんが、その度にヒントを出し続けます。
今、中学校全体で補習に取り組んでいますが、この結果もなかなか興味深いですね。中1たちに補習を行うと、その成果はぐんと上がるけれど、中2や中3ではむしろ反対の効果になってしまう。つまり、勉強のつまずきに対しては早めに手を打てば、成果を出せるということです。このことを意識して、今後も取り組みを続けたいと思っています
と、同時に「進学」ということを意識するのであれば、底上げだけでなく、上位を伸ばせるような体制づくりも進めていかなければなりません。この点についても、現在改革を進めていることろですが、だからといって学校行事などを減らすつもりはありません。勉強も学校行事も両立させて頑張っていきたいと考えています。
歯に衣を着せないお話が満載でした。「人間教育」をどこの学校でもやっているとしたら、学びの意味を見出せない子どもたちはなぜ出てきてしまうのか。人間の一生と学びとの関係について、伝える側のミスリードが解消されていないとしたら、「人間教育」を建前と言い切ってしまうことが良いのかどうか、この点は意見の分かれるところかもしれませんね。また、ある特定の一時点での相対評価にすぎない偏差値を学校として意識している点も、子どもたちの成長のペースやリズムが様々であることを考えると、好みが分かれるところかもしれません。
そうはいっても、子どもたちの知的好奇心を引き出せるよう、様々な働きかけや問いかけを先生方が行っているという点に自信があるからこそ、「進学」に向けて学校の教育方針を明確化できるのだろうなと思いました。「学びの意味」を子どもたちに問いかけ続けたいという先生のお話は、非常に好感の持てる内容でした。
6.学習院女子
本校の教育理念は、子どもたちに、「広い視野」、「たくましい精神」「豊かな感受性」を身につけてもらう点にあります。伝統校ではありますが、伝統にのっとるだけでなく、近代社会が求める人物像に見合った女性を育てて生きたいと考えています。礼儀作法や言葉づかいといった素養も、本校を卒業するまでに日常生活のなかで、そして毎週の道徳の時間を通じてなどの形で、自然と身についていくものと思います。
子どもたちは、6年間のなかで、中1〜高1までで基礎的な学力をつけ、高2で文系・理系のコース選択をし、高3で応用力を身につけていく、そんな教育課程を用意しています。
今年入学してきた新中学1年生ですが、非常に伸び伸びと学校生活を楽しんでいます。10分休みの間ですら校庭に出て鬼ごっこやドッヂボールで遊んでいる、とても元気な学年だと思います。
学習院女子の説明会は、毎年印象に残りにくいのが残念なのですが^^;、、今年も当たり障りのないお話でした。学習院大学、学習院女子大学への内部進学率が7割を超える、その一方で他大進学者の多くが国公立や早慶上智、医歯薬系といった大学に進学していく、その教育の質の高さ、というか、子どもたちの意識の高さを育むものがなんであるのか。そういった点に焦点を当てたお話をうかがえたらと思いました。
7.恵泉女学園
軍国主義まっただなかの1929年に、日本にデモクラシーの学校をつくろうと尽力した河合ミチ先生によって本校は建てられました。
毎日8時20分から始まる礼拝の時間が、本校の教育の生命線であります。自分自身や人間の言葉ではなく、聖書に書かれた神様の言葉を中心として、その日の授業に臨んでいこうとお祈りするための時間です。
「この地上で与えられた使命を成し遂げるためには、私自身が本物でなければならない。では本物の私とはいったい何者か?」、「人間は強さも弱さも持っているが、そういったペルソナ(仮面)を一つ一つ取り去った先に残る本当の自分とはいったい?」、そういった問いかけを日々行いながら、自分を大切にしながら他者も大切にできる女性。自由ではあるが自分中心ではない、創立者のような気骨と優しさを併せ持った女性を育てていきたいと思います。
大学への進学実績という「数字」の誘惑はありますが、それに惑わされず、地に足をつけて世界に羽ばたいていける女性を育てることが本校のモットーであります。
校長先生が交代されて2年目になりますが、恵泉としてのモットー、校風にぶれはないといったメッセージを感じさせてくれる説明会でした。この学校に限らず、子どもたちが一人ひとりの使命にどのように気づき向き合っていけるか、そしてそれを周囲はどのように見守り援助したらよいのかは、中高一貫校の共通した課題であるように感じます。
8.香蘭女学校
本校は英国聖公会の宣教師が、日本でも聖公会が行っているのと同じような女子教育を行える学校をつくりたいという思いから建てられました。外部からは学校の校舎の建物がまったく見えないほどの、緑豊かな環境の中で、私たちは自然の一部であること、そうした自然の生命の営みを日々感じ取れるようなキャンパスに子どもたちは通っています。思春期に養われる情操とは、決して知識によって得られるものではありません。子どもたちが、学力だけでなく豊かな情操をはぐくんでいけるような環境をしっかり整えてあげることが大切だと考えています。
お話の内容は例年通りの説明会という感じでした。2006年度、2007年度の女子校アンサンブル報告を参照していただければと思います。子どもたちの自発性を引き出すために「様々な具体的なプログラム」が用意されているという言葉を繰り返し聴きましたが、「具体的なプログラム」の中身が全く見えてこないまま、子どもたちの生の姿が見えてこないまま、という印象を受けてしまいます。
9.実践女子学園
中高一貫校という、中学1年生から高校3年生までが同じ学びの場にいることの意義はどこにあるのでしょうか。子どもたちを見ていると、彼女らが大きく変化していくのは何か目標となるものを見つけた時なのだな、ということが分かります。大人から何かを言われたからではなく、先輩たちの姿を見ることで子どもたちは自律的に何かに気がついていきます。高校生たちの活躍する様子を見ながら、中学生たちは「次は私たちが・・」と自分の出番に備えて準備をしていく、そんな光景をあちこちで目にします。
本校では、そのような中高一貫校という場を活かして、女性を社会に参加させるための教育を進めることを建学理念としてきました。現在、本校が柱にすえている教育内容は4つあります。まずはキャリア教育です。子どもたちが、自分の将来の夢につながるような大学選択を行えるよう指導していく過程で、情報収集能力や判断力、目標設定能力といったものも同時に身についてきていることを感じています。次に、感情表現教育ということで、子どもたちの見る力、聞く力、感じる力を養っていけるよう指導しています。これは一般的に言われているような校外や課外での芸術鑑賞といったものではなく、本校では特に国語科が中心となって進めています。人の話を聞いて要約できる力、柔軟に現実を受け止めることのできる力、そして自分の意見を表明できる力を養えるように取り組んでいます。さらには昨年度より国際学級の設置という形で強化した国際交流教育(国際理解という考え方よりも一歩踏み込んだものと考えています)、また今年度から新たに開始した、生命と健康・安全安心を育てる教育です。この新たな取り組みは、女の子として、女性として生きていくためにとても大切なものなのではないかと考えております。
ここ数年、様々な改革に取り組み続ける実践女子学園を見てきましたが、「健康」、「生命」、「安全安心」というキーワードを教育の柱として据えてきたことには驚きました。生命倫理の問題だけでなく、日常レベルで安全や安心が問われるようになった昨今。日常的にも危機管理能力というものをどこまで養えるのかというのは大切な課題ではありますが、それをどのように子どもたちに語りかけていくのか。教育の柱として力を注ぐと銘打つだけの内容を打ち出せるのか、非常に興味深いところです。
全体を振り返って
今年は、建学の理念や教育目標、子ども達の精神的な発達(自分の使命感、将来的なキャリアビジョン)といったお話に重点をおいていた学校がとても多かったように感じます。各教科のカリキュラムや補習、特別講座、習熟度別学習といった部分では、各校とも取り組みが共通化してきているので、改めて各学校にとっての「教育とは何か」、「学びとは何か」という原点にまで立ち返ったのかもしれません。
卒業生のモデル・ケースとなるような人物像については、学校ごとにそれぞれ違いはあるのではないかと思いますが、子ども達の成長の過程でどのような点につまずき、そしてまた何がきっかけで憧れや理想を抱くようになるのか、そういった過程への先生方の分析が、こういった合同説明会での発表を通じて(もちろん、そういった研究発表の場は他にも多々あるのでしょうが)、今後ますます深まっていくのではないか。そんな期待を抱かせてくれた説明会でもありました。